ライター:YOSHIE(国際中医薬膳師/漢方カウンセラー)
「食べ物は普通に飲み込めるのに、のどの下に何かつまっている感じがする」とうい症状があります。当院にもこのような症状で来院される方は少なくありません。
のどの下に異物感があったり、のどや胸のあたりがつかえた感じがする、といった症状は中医学では「梅核気(ばいかくき)」といいます(西洋医学では「ヒステリー球」といいます)。梅の種(核)がのどにつまっているような感覚がすることからそう名付けられたそうです。
「梅核気」は、中医学でいうところの“気滞(きたい)”によって起こります。気滞とは、気が滞る、巡りが悪い状態です。
気滞が起こる一番の要因は、ストレスです。ストレスで気を流す機能(肝の疏泄機能)がうまく働かなくなり、それによって気が流れずに滞ってしまいます。そして、のどや胸にその気が滞った状態(実際には何もない、見えない)を「梅核気」「のど・胸のつまり」として感じるのです。
ストレスは、恋人や家族との問題、職場の人間関係、仕事の負荷やプレッシャー、寝不足など、その人にとって様々です。その人にとって、ストレスが強く、また長く続くと、気を流す機能の働きが悪くなります。
まず、ストレスをストレスと認識することが大切。そして、自分に合ったストレスをうまく軽減させる方法、感じない方法を考えてみてください。ヒントは自分が「楽しい」と感じられることがストレスを解消させる方法になることが多いです。楽しいと思うことをやっている時や、何か集中できることをやっている時は、不思議とのどや胸のつまりは感じないのです。
手軽に“気を流す”ための、ゆるっとメンタル薬膳&養生を試してみましょう。
気滞には、気を流す作用(理気作用)がある食材を食べたり、養生を行おう!
メンタル薬膳私はこの「のどに梅の種」症状にずい分悩まされました。梅の種どころか、大きめのビー玉がのど下に詰まっている感覚がいつもあり、時には、そのビー玉にのど全体を押し潰されるような圧迫感を感じることもしばしば。特に私の場合は話をしようとするとその圧迫感が強くなり、私の絞り出すような声に、聞いている方も苦しそうな表情になることも数えられないくらいありました。
あまりののどの違和感に本当に何か詰まっているのでは?と思い、耳鼻咽喉科へ行き、鼻からカメラを入れてのどの奥を診察してもらったこともあります。その時の医師には「何も詰まっていないよ、大丈夫」と言われ、診察が終了。この時に「ストレスからくる梅核気というものだよ」と診断してくれていたら・・・と思ったりします。「梅核気」という症状・診断があることを知ったのは、それから10年ほど経って、漢方の勉強を始めたときでした。
梅核気は、何かに集中したり、楽しいことをしているとその存在がなくなります。私の場合、(お勧めはしませんが・・・)お酒を飲むとテキメンにその存在、違和感はなくなります。今思うと、寝不足が続く、プレッシャーがかかる、言いたいことがあるのに言えない、のどの違和感を気にする、といった場面で強く感じていました。
のどの違和感の原因や解決策が分からないまま何年も過ごした私は、深呼吸をして思い切り息を吐き出したり、買い物や会食など自分が楽しいと思う予定を積極的に入れたりして「梅核気」を感じない、出現させない自分なりの工夫をして過ごしていました。
15年ほど、”のどの違和感”に悩まされましたが、のどに違和感が出てきたら「あー、私は今ストレスを感じているんだな」と都度、ストレスを自覚するようにし、その時はなるべく気分転換するように心がけることで、徐々に症状は落ち着いてきています。
”のどの違和感”、”のどが詰まった感じ”で悩まれている方にこのブログが少しでもお役に立てれば幸いです。