私はこれまで、精神科専門医として、メンタル産業医として、ひとつは「もの忘れで不安に思っている方やご家族」、もうひとつは「頑張りすぎて心が疲れてしまい、体に不調を起こしてしまった方」に対して、専門性をもって医療的サポートをしてきました。
まず、認知症は、新しい過去から少しずつ記憶が消えていき、さらに自他の区別がなくなっていくことで最終的には自分や家族、周りの人が分からなくなってしまうというとても悲しい病です。私自身は、認知症は生活習慣病の終着駅だと考えています。食生活や運動はもちろん、喜怒哀楽をきちんと感じられる生活を送ることが認知症を発症させない大切な要素だと思っています。
認知症の予防、治療は、早期に発見し、早期に予防・治療介入することで、認知症の発症を遅らせたり、進行をとめることができるのです。来院される方のほとんどが「認知症だと診断されたらどうしよう」「認知症になったら家族に迷惑をかける」という不安をもって来られますが、私は単に物忘れの症状のみを診るのではなく、不安や人生の問題を、十分に時間をかけてお聞きし、全人的に診ることを心掛けています。
また、私たちは毎日、非常に多くのストレスに囲まれて生活をしています。夫婦や家族、職場や地域など、人はひとりで生きているわけではありません。それらから受けるストレスにより心が疲れ、それが徐々にさまざまな身体症状としてあらわれてきます。
周りからは理解してもらえない辛さがご本人にはあります。それに耳を傾け、心が元気になるきっかけづくりが私で、当院でできれば・・・という思いで診療を行っています。当然そこには、薬によるサポートも必要な場合がありますが、それは心が元気になるきっかけの一つだと考えています。
不安を一緒に乗り越え、少しでも早く検査や診断をして、予防策や治療を開始することで、ご自身やご家族が今まで通りの充実した生活を続けて頂くことができるのです。
<略歴>
1984年 京都大学医学部卒業 精神科医として、認知症やうつ病などの精神疾患治療に専念
2014年より、ひろかわクリニック院長
<資格>
精神保健指定医
日本精神神経学会精神科専門医・指導医
日本医師会認定産業医