検査について

当院では、医師による詳しい問診や検査を通して、まず現在の認知機能の状態を診させていただきます。

一般的な健康診断は受けられたことがある方は多いと思いますが、認知機能の状態を知る検査を受けられた方はあまり多くないのではないでしょうか。
50歳を過ぎたら、物忘れが気になり始めたら、年に1度は認知機能検査を受けられることをお勧めします。

問診、血液検査、神経心理検査、脳画像検査などにより現在の認知機能の状態を総合的に診断し、状態に応じた認知症予防・治療のプログラムを設計し、サポートしていきます。

当院が行なっている検査項目

MCI軽度認知障害、認知症の診断のために当院が行なっている主な検査項目は、

  • 血液検査
  • 神経心理検査
  • 脳画像検査

の3種類です。

血液検査
  • 一般血液検査
認知症の診断には生活習慣病の有無の確認が必要です。例えば糖尿病をもった方は、もっていない方よりも認知症リスクが高いという研究報告もあり、一般血液検査は認知症診断において大切な検査項目です

  • 認知症に特化した血液検査(保険外/自費)
必要に応じて一般血液検査以外の認知症に関連する血液検査を行います
神経心理検査

神経心理検査は、MCIや認知症の早期発見、進行の程度などを調べるためのものです。知的機能や認知機能を把握するための検査で、負担がかからないように、短時間で無理なく行います。

  • MMSE(Mini Mental State Examination)
認知機能や記憶力を測定できる11の項目からなる検査で、おおまかな知的機能の障害の有無や程度を判定することができます

  • HDS-R(改訂長谷川式簡易認知能評価スケール)
認知症の診断に使われる認知機能テストです

  • 時計描画検査(CDT:Clock Drawing Test)
脳の中の側頭葉(意味記憶)、前頭葉(実行機能)、頭頂葉(視空間認知)の機能を評価します

  • ADAS-J(Alzheimer’s Disease Assessment Scale)
記憶を中心とする認知機能検査で、アルツハイマー病に対するコリン作動性薬物による認知機能の評価をおもな目的としています。認知症の重症度を判定するというよりは、継続的に複数回実施し、得点変化によって認知機能の変化を評価する検査です

  • CDR(Clinical Dementia Rating)
認知症の重症度を評定するための検査です

上記の検査をその方に合わせていくつか実施いたします。

脳画像検査

脳画像検査は問診や神経心理検査と組み合わせて、MCIや認知症の診断するうえの補助的情報として必要に応じて行います。
※脳画像検査は、検査連携病院(宇治病院)で受検いただきます。検査結果は、当院にて詳しくご説明します。

  • MRI/CT
脳の萎縮、梗塞、出血、腫瘍、水頭症といった脳のかたちをみる検査です。MRIは磁場を利用した画像です。体内に金属がある方は熱が発生したりして危険であるため撮影できませんので、CTでの撮影を選択します。CTは放射線を利用した画像です。MRIに比べて画像は鮮明ではないですが、短時間で撮影が可能です。アルツハイマー型認知症では海馬、頭頂葉、側頭葉、前頭側頭型認知症では、前頭葉、側頭葉の萎縮が特徴的です。血管性認知症では、梗塞や出血を確認します。
MRI
  • 脳血流シンチグラフィ(SPECT)
シンチグラフィとは放射線を出す薬を注射し、体内の様子を画像化することです。SPECTとはシンチグラフィの画像を輪切りにしたものです。脳の血流状態を画像で見ることのできる検査方法です。アルツハイマー病では帯状回後部、側頭葉、頭頂葉、脳血管性認知症では梗塞部位と前頭葉、レビー小体型では、後頭葉、前頭側頭型認知症では前頭葉、側頭葉の血流低下を認めます。アルツハイマー型認知症の脳は、頭頂葉内側の楔前部などで血流の低下が見られることから、血流の低下部位を確認します。
SPECT